お客様から“おかわり注文”が入ることもある、ウォーターホテルKの料理。おかげさまで大変ご好評いただいていますが、その料理づくりには数々のストーリーが存在します。
今回は、新メニュー誕生のいきさつや、料理にこだわる社長の想い、泣く泣くボツになった幻のメニューの話など、人知れずキッチンで繰り広げられてきた数々の“秘話”を、丸ごと紹介しちゃいます。
目次
社長の一言ではじまる「メニュー開発」の裏側
ある日のこと……スタッフの社内LINEに、社長からメッセージが届きます。
『ボルガライスをメニューとして取り入れよう』
スタッフ:「え〜なにそれ、また社長はじまったよ。ボルガライス……?ボルガって何……?」
モゴモゴいいながら、スタッフはキッチンへ向かい、パソコンで調べながら、社長の提案から1時間後には試作品が完成しました。
スタッフ:「社長、ボルガライスの試作品が完成したのでご試食お願いします。」
社長:「ありがとう、もぐもぐ……なんか肉固いね。もっと柔らかくできないの?」
スタッフ:「やってみます!でも、お肉を柔らかくするにはどうすればいいのかな?調べてみよう」
揚げ時間、味付けの割合、解凍時間、お肉や衣の素材などメモしながら、これからいけるかもとまた社長へ。
スタッフ:「社長、ボルガライス試作2号が完成したのでご試食お願いします」
社長:「ありがとう、もぐもぐ……なんか衣がべちゃべちゃで美味しくないね。もっとサクサクのほうがお客様は喜ぶと思うな」
スタッフ:「やってみます!!」
キッチンに戻って……
スタッフ:「衣をサクサクにするにはどうしたらいいだろう?一旦、冷凍してみる?いや、揚げ時間を短くするか?オーブンの温度は?衣は違うものがいいのでは?」
気付けば、キッチンには試作品の揚げ物で溢れかえっていました。まるで本格食堂のようです。一見すると、ラブホテルのキッチンとは思えない光景。
スタッフ:「社長、衣のサクサクを追求したボルガライスがついに完成しました!」
社長:「もぐもぐ……うっ、お、美味しい!これならお客さんが喜んでくれるね。さっそくメニューで出してみよう!」
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こうして誕生した人気メニューのボルガライス。他のメニューも同様にこのようなやりとりで誕生していきます。
社長のアイディアをスタッフが受け止めて、しっかり行動で応えてくれる。そんな互いの信頼関係があってこそメニュー開発の裏側。
ウォーターホテルKの料理はこうした努力を惜しまないプロフェッショナルによって支えられているといっても過言ではないのです。
社長の想い「お客様に対して、時間もお金も使っていただくのに美味しくないものを提供すのは失礼だと思っています」
社長:私のアイデアにいつも行動で応えてくれるスタッフさんには、感謝しかありません。
美味しい料理を提供するために、スタッフさんは仕事の合間に仕込みもこなしてくれます。人気のあるカツは朝から40枚以上揚げる日もあるんです。
そんな姿をみたら、スタッフさんたちにとても足を向けて寝られない……そんな気持ちでいっぱいです。
私の新しいメニュー提案や味への追求の原点は「せっかく時間をかけて私たちのホテルに足を運んでくれたのだから、ご入室した以上は最高の体験をして帰ってもらいたい」です。
本当に、その気持ちだけです。
レジャーホテルって、基本的にお客様と関わる機会がないじゃないですか。だから接客だけでご満足いただくのは、とても難しい……。しかし、たとえ接客がなくても、料理の質や部屋の清掃、電話口のサービスで表現できるはず。
だから私たちは料理にこだわります。お客様の顔がみえない以上、料理の質を追求することで、最高の体験をしていただきたいと思っています。
惜しまれながらボツになった“幻のラムチョップ”
こんなに時間を惜しんでこだわっていても、妥協しなかった結果ボツになったメニューも存在します。それが「ラムチョップ」です。
スタッフ:「社長、新商品のラムチョップ、試作品の第1号ができました」
社長:「これはおいしい!これまで食べたことのあるラムチョップの中で一番おいしいよ。さっそくメニューにとりいれよう!」
スタッフ:「そうと決まれば、再現レシピを完成させてメニュー化しよう!」
材料⚫︎g、焼き時間⚫︎分、寝かせる時間⚫︎分……
スタッフ:「社長、試作品のラムチョップの味を再現してみました。最終チェックをお願いします」
社長:「どれどれ……あれ、この間の味と全然ちがう……?美味しくない!」
スタッフ:「(あれ、おかしいな。この間と同じレシピで再現したはずなんだけど)作り直します!」
社長:「だめだ、やっぱりあのときのラムチョップと違う……!」
とうとうレシピを再現する試みは、50回を超えてしまいました。気付けばキッチンはラムチョップだらけに。
社長:「う~む、あのラムチョップはどうしても再現できないね……。残念だが、ラムチョップは一旦メニューから取り下げよう」
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こうして、一番最初に作った試作品の味を再現できず、ラムチョップはお蔵入りとなりました。
あの試作品一号の味はどうやって生み出したのかはいまだに謎で、いまでは「幻のラムチョップ」としてスタッフと社長の笑い話になっています。
美味しくなければお客様に提供はできない。それがウォーターホテルKのキッチンの妥協できない部分でもあるのです。
自慢の料理のこだわりを紹介
こだわりは素材にもしっかり反映されています。本格食堂さながらの味を支えているのは、生産地から選び抜いた素材たちです。
お取り寄せの平飼い卵
社長が卵かけご飯を食べたことがきっかけで、卵料理には全てオークリーフ牧場さんのハーブ卵を使用しています。
リピーター続出?もっちもちパスタ
パスタメニューも豊富で人気があります。とくにナポリタンはこだわっていて、もちもち感がでるようにあえて麺の種類を変えています。提供する際は、お皿ではなく鉄板です。雰囲気を楽しんでいただくための一工夫です。ここだけの話、ナポリタンはおかわり注文いただくこともあります。
カツはすべて手作りです!
カツはすべて衣から手作り。使用しているお肉は国産の豚肉です。仕込みにはいちばん時間をかけています。
社長が妥協しないから、私たちも妥協しない!料理に愛情と真心をこめるベテランスタッフ
料理を作るスタッフは、仕事の合間に仕込みをしたり、何十回も試作をかさねた料理がボツになったり、何かと大変なことも多いウォーターホテルKのキッチンですが、それでも常に最高の品質を追求した料理を提供できるのは、マネージャーとベテランスタッフのおかげです。
たとえ社長が無茶振りをしようとも、主体的に行動し続けられるこの2人のスタッフにはどのような想いがあるのでしょうか。
「家族に手料理をふるまうつもりで、真心を込めてつくっています」
私たちは主婦です。子どもも旦那もいるごく一般的な家庭で、料理の経験を積み重ねてきました。いつも「みんなで一緒に美味しい料理を食べたい」と思いながら料理をしているので、何品も料理を作る際には、冷めないように工夫して、まとめて食卓に提供できるようにしています。
この経験が実は、ウォーターホテルKのキッチンでも活かされていて、たくさんのオーダーが入っても、順序よく温かい美味しい料理を提供できるようになっているのです。
味が美味しいのはもちろんですが、料理の温かさがお客様に伝わることが、私たちの喜びです。
どんな社長の無茶振りでも、「美味しいものをお客様に提供したい」という想いは社長と一緒なので、楽しみながら頑張れます(笑)
日々の品質確認も妥協しない
社長が出勤する日のランチはいつもウォーターホテルKの料理。
こうするのにはわけがあり、私たちの料理は、一旦レシピができたら終わりではなく、日々社長が味を確認し、味の改良を重ねて美味しさを追求しているからです。
例えば、ごはん。
ある日、社長の試食でごはんがべちゃべちゃだということに気づきました。
こうした発見から、丼ものやルーにかけて提供するご飯と、そのままご飯だけで食べていただくメニューでは、あえて米の品質を変えるようにしました。
品質のみならず、ご飯を保管するタッパにまで、徹底しているのだから美味しくないはずがないのです。
「ラブホテルにしてはやりすぎなんじゃないの?」と思われてしまうほど、やりすぎていますが、そのこだわりこそ、ウォーターホテルK流のお客様への“おもてなし”です。
そして、そのこだわりが実現できるのは、お客様に対する社長の想いと、その想いを受け取って行動してくれるスタッフとの信頼関係があるからです。
衣から仕込んだトンカツ。手作りパスタソース。厳選ハーブ卵。「ここまでやるか」と喜んでもらいたい。ただその一心で作っています。
当ホテルへお越しの際は、ぜひお料理も一緒にご堪能くださいませ。